東海大学・医学部
基礎医学系・分子生命科学
紙谷聡英 研究室
マウス胎仔からの肝前駆細胞分離・培養系
マウス肝臓からの細胞回収法
準備
37℃ウォーターバスの準備
EGTAバッファー
コラゲナーゼバッファーの確認・37℃でインキュベート
1.マウス胎児をPBSで洗って、手術的に肝臓を摘出(クリーンベンチ内で作業を行う)
妊娠マウス(胎生13日前後のもの)を頸椎脱臼させた後に、開腹し子宮を取り出す。マウスの子宮はYの形になっているので、両方を取り出してPBSで洗う。子宮からマウス胎児を取り出しPBSで洗ったのちに胎盤を切り離す(図1-2)。
実体顕微鏡下で、胎児から肝臓(赤い臓器として確認できる)をピンセットで取り出し、付着している腸管等を丁寧に外す。
取り出した胎児肝臓を10cmDish(非接着性のPetri dishなど)に入れ、EGTAバッファーを入れる(図3)。
2.摘出した肝臓をEGTA バッファー10ml/8-10胎児に移して、はさみで1mm角以下ぐらいに肝臓をばらばらにする(図4-5)
(低吸着DishにPerfusion Bufferを10ml無菌的に取り、摘出した肝臓をはさみでばらばらにする)
3.10mlのピペットで15ml遠心チューブに肝臓とバッファーを移したのちに、37℃のウォーターバスでインキュベートする(5分)
(図6、肝臓がピペットにくっつきやすいので、少しずつチューブに移す)
4.1000rpm、4分で遠心(室温)、上清をアスピレートする
5.コラゲナーゼ溶液(あらかじめ37℃にインキュベートしておく)を10ml加えて、37℃で15分、ピペッティングをはさんで+5min ぐらい溶けるまでインキュベートする。
6.ピペッティングで細胞をばらばらにする。+5ml DMEM10%FCS培地で酵素反応をストップする。
7.1000rpm、4分で遠心(室温)、上清をアスピレートする
8.+10ml PBS+3%FCSで細胞をWashする。遠心前に滅菌したフィルターでフィルトレーションを行う(図7)
9.1000rpm、4分で遠心(4℃)、上清をアスピレートする。沈殿した細胞を回収し、PBSで2回Washする。
10.細胞の沈殿物に、50ulのPBS+3%FCSおよび+0.5ulのBiotin-anti CD45およびBiotin-anti Ter119を加える。
(胎仔10匹あたり1チューブ用の量、胎仔数に合わせてBuffer/抗体量を増やす)
11.氷上:振とう機で20-30分インキュベートする。
12.+50ulのDynabeads MyOne Streptavidin C1を5ml PBS+3%FCSでWashする(胎仔10匹あたり、胎仔数に合わせてBuffer/抗体量を増やす)。DynalBeadsセパレーターに15mlチューブを入れて5分ほど待つ。そのまま上清をアスピレートする。両側の磁石にビーズが結合しているので、チューブの真ん中を吸い上げること。
13.11のサンプルに+10mlのPBS+3%FCSを加えてWashする。1000rpm、4分で遠心(4℃)、上清をアスピレートする
14.残ったビーズに50ulのPBS+3%FCSを加えてビーズを回収し、サンプル(13で遠心したもの)に加える。
15.氷上:振とう機で20-30分インキュベートする。
16.5mlのPBS+3%FCSを加えて、Dynal用磁石にチューブを入れて5分ほど待つ。そのまま上清をピペットで回収し、別のチューブに移す(図8)。(この時両側にビーズが結合しているので、チューブの真ん中を吸い上げること)
17.1000rpm、4分で遠心(4℃)、上清をアスピレートする
18.+75ulのPBS+3%FCSおよび1.5ulのanti-Dlk antibody (-20℃抗体BOX)を加える。(胎仔10匹あたり、胎仔数に合わせてBuffer/抗体量を増やす)。
19.氷上:振とう機で20-30分インキュベートする
20.5mlのPBS+3%FCSで細胞をWashする。1000rpm、4分で遠心(4℃)、上清をアスピレートする
21.+70ulのPBS+3%FCSおよび30ulのMACSビーズ(anti-Rat)(-4℃抗体BOX)を加える。(胎仔10匹あたり、胎仔数に合わせてBuffer/ビーズ量を増やす)
22.氷上:振とう機で20-30分インキュベートする。
23. MACSカラム(LSカラム)とMACSセパレーターを準備。LSカラムに3mlのPBS+3%FCSを入れて自然落下でWashする(図9)。
24.22のサンプルを5mlのPBS+3%FCSでWash. 1000rpm、4分で遠心(室温)、上清をアスピレートする。+500ulのPBS+3%FCSを加えて沈殿した細胞を拡販する。(胎仔10匹あたり、胎仔数に合わせてBufferやカラム数を増やす)。
25.カラムの黒い部分に細胞をのせる。自然落下で溶液が全部でたら、3mlのPBS+3%FCSを加えてWashを3回行う。
26.カラムを磁石から外して、15mlの遠心チューブに移す。5mlのPBS+3%FCSで細胞を溶出する。(自然落下で行い、最後にピストンで全量を押し出す)
27.細胞をピペットでMixし、10ul+染色液10ulをよく混ぜて、血球計算板に10ulを載せて細胞をカウントする。